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「コタキ兄弟と四苦八苦」1話:感想

人生最高のドラマ

どこから話せばいいかわからない。

ただ一つ言えるとすれば、とにかく『最高のドラマ』だった。

こういう時に、自分の語彙力の無さに嫌気がさす。しかし、間違いなく「コタキ兄弟と四苦八苦」は『最高のドラマ』だと言える。

そもそも主演に滝藤賢一と古舘寛治、レギュラー出演者に芳根京子と宮藤官九郎、脚本に野木亜紀子、監督に山下敦弘を持ってきているのだから、間違いなくいいドラマに決まっている。

ストーリー

1シーン目から強烈なインパクトだった。

古舘寛治演じる古滝一路が、芳根京子演じるさっちゃんが働く喫茶店で会話のきっかけを疑っている。お会計の時に別の客が忘れていったバールを孫の手替わりに使っているところに「それ何?」と声を掛けて会話を膨らませようとするが、途中で別の客が入店してきて遮られる。

たったその1シーンで

  • 古滝一路はさっちゃんを狙っている
  • 古滝一路の人生は上手くいっていない
  • さっちゃんは天然

という3つを視聴者に伝えている。セリフがほとんど無いのにもかかわらず、ドラマや人物設定に関わる情報量が多いのは1話の1シーン目として完璧な脚本だと思う。


続いてのシーンでは、古滝一路の家に滝藤賢一演じる古滝二路が転がり込んでくる。ここでも先ほどと同様、セリフが少ないながらも兄弟間の関係性やキャラクターが伝わってくる。その上、2人のキャラクターがピッタリすぎる。


次のシーンでは宮藤官九郎演じるムラタが登場する。この人物がレンタルおやじをしてほしいと頼み、コタキ兄弟に非日常へと誘う。しかし、その非日常も誰かの日常の中の一部でドラマとしていい意味で飛躍しすぎていない。


ここで、1話ゲストの市川実日子演じる鈴木静子が登場する。ここも強烈なインパクトだった。右の頭部から血を流しハンカチで抑えている。従来のドラマだったら大げさなリアクションや大事件に発展するのだが、あくまでもこれは「鈴木静子の日常」でありそういったものはなくコタキ兄弟も戸惑いながらその日常に入り込んでいく。


さらに古滝一路と鈴木静子が街中を移動し喫茶シャバダバに行くシーンでは、古滝一路が「僕がやったわけじゃないですよ」と街行く人に弁明している。これは当たり前のことだが、ドラマや映画だとこういうことを忘れがちで当事者2人だけのやり取りで済ませてしまうことがある気がする。この弁明は「自分を守りたい」という古滝一路の根っこの部分が現れる重要なシーンだ。これは後々にも繋がっていく。


喫茶シャバダバでは夫にDVを受けているからという理由で古滝一路は鈴木静子の離婚届にサインを求められる。ここでも古滝一路は屁理屈を並べ自分を守ろうとする。それを見たさっちゃんが2人を夫婦だと勘違いしすれ違いが発生する。


ここではっきりと、「このドラマはシチュエーションコメディだ」と思った。会話が噛み合わなかったり、すれ違いが起きたり。特に印象に残ったのはさっちゃんの細かい動き。

例えば、古滝一路が鈴木静子に暴力を振るったと勘違いし、1シーン目に登場したバールを手に立ち向かう場面。ここで鈴木静子も勘違いしているのを分かっていながらさっちゃん側に立つところも素晴らしいのだが、忘れ物を取りに来てその場面に遭遇した作業員との会話で「凶器?」と聞かれ「これからです」と答えるところ。慌てて隠したり、否定もせず真面目に返答する。ナイスコメディ

他にも古滝一路が弁護士を目指して落ちたと聞いて思わず笑ってしまうところも、絶対に笑ってはいけないシリアスな場面でもありながら、ごく普通の動作を入れることによって日常感を演出している。ナイスコメディ


しかし様子が一変する。

そこまでコメディ要素が出ていたところに鈴木静子が放つ

「『死ね』って言葉、口に出して言ったことありますか?」

というセリフ。

この一言でグッとドラマの現実に引き込まれる。ドロドロとした問題をオブラートに包んでいたところを一気に剥がしてしまう。市川実日子の女優としての力に驚かされた。

結局サインをするのは古滝二路。ここも私文書偽造に加担したくない古滝一路とあっけらかんとしているが芯が通っている古滝二路の対比が美しい。最後のお会計で古滝一路の方が安いのに、協力してくれた古滝二路と一緒にしているところも細かいところだがこだわりを感じる。苗字がスズキからイサキに変わるのも同じスズキ目の魚という遊び心も入っている。

配役のセンス

このドラマは配役が完璧だと思った。

古舘寛治はミステリアスな雰囲気と哀愁が漂っているため、今回の「しっかりしてそうだが意外と抜けたところがあるおじさん」がよく似合う。

滝藤賢一は「フラッとしつつも芯が通っているおじさん」をやらせたら日本一だと思う。過去のドラマでも「茅ヶ崎ランドリー」や「ヴィレヴァン」などでも似たような役を演じている。日常生活の中に少しの非日常を入り込ませる。そういった演技が上手い。

芳根京子は馬鹿がよく似合う。(もちろんいい意味で)「チャンネルはそのまま!」の感じがそのまま活かされているし、馬鹿なのに華がある。こういう女優はなかなかいないだろう。

宮藤官九郎の演技はあまりお目にかかることはないが、間の抜けた不思議な役にピッタリ合う。普通の会話でも面白く聞こえる。

今回のゲストの市川実日子は脚本の野木亜希子が「アンナチュラル」から引っ張ってきたのだろう。先ほども書いたが、訴えかける演技、引き込む演技は他を圧倒している。

完璧なあてがき(役者をイメージして脚本を書くこと)だと思う。

連ドラでありがたい

これが40分×12話のドラマというのがありがたいと感じる。

ダメダメ兄弟の成長ぶりや心情の変化

それを取り巻く人間との関係の変化

じっくりと楽しむことができる。

ここからあと11話、どうなっていくのかが楽しみだ。

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