テレビ東京の1月クールの深夜ドラマ「コタキ兄弟と四苦八苦」を知る
このドラマが始まる前、たまたまTwitterのタイムラインに1つのツイートが流れてきた。それはフォローしている人がつぶやいたのか、誰かがリツイートしたものか分からないが、そのツイートには滝藤賢一のインタビュー記事が張られていた。元々、滝藤賢一は深夜ドラマによく出ているので好きだった。すぐにインタビュー記事を読んだ。
日刊大衆のインタビューで1月クールのドラマ「コタキ兄弟と四苦八苦」についての記事だった。そこで初めてそういうドラマがあることを知った。主演は名バイプレーヤーとして名高い滝藤賢一と古舘寛治。脚本は野木亜紀子。「逃げるは恥だが役に立つ」や「アンナチュラル」の脚本を務めた一流のヒットメーカー。そして監督は山下敦弘。こちらも「深夜食堂」や「山田孝之の東京都北区赤羽」「山田孝之のカンヌ映画祭」などの監督を務める超一流監督だ。「テレ東の深夜にこの豪華メンツ?」とは思ったが、一気に興味をそそられた。
その「コタキ兄弟と四苦八苦」のインタビューで滝藤賢一は、同じく主演を務める座長・古舘寛治についてこう語っていた。
彼(古舘寛治)がやりたい本読みは、まず自分のセリフを見て覚えて、それから口に出す。それで、こちら側は、相手のセリフを聞いてから、自分のセリフを覚えてしゃべる。つまり、相手のセリフをしっかり聞いて、相手に伝えるのが「本当の本読み」なんだ、というわけです。
そこからクランクインまで、何百回も二人で本読みをしましたね。
引用元:https://taishu.jp/articles/-/71475
衝撃だった。ドラマや映画の舞台裏を知らなくとも、「本読み」というものは「台本を見ながら読む」ものだと思っていた。というか、俳優人生の長い滝藤賢一もそう思っていたのだから一般の我々がそう思うのも当たり前だ。ただし、我々の思う「本読み」と古舘寛治が思う「本読み」とは全くかけ離れたものだった。
しっかりと与えられたセリフを見て覚えて、そこから声に出す。しかもそれは自分だけでなく相手も同じで、お互いが自分のセリフを”自分のもの”にしてから本読みをするというのだ。「本当の本読み」というのをそこで初めて知った。
古舘寛治も滝藤賢一も演技が上手いのはもちろん知っている。引っ張りだこといっても過言ではないほど数々の映画やドラマでその姿を見かけるし、その中でも頭抜けて演技が上手いことだって知っている。ただそんな2人でさえ、これだけ意識の差があったのには驚いた。(もちろん滝藤賢一が悪いと言っているわけではない。古舘寛治が凄すぎるのだ。)
さらに同じインタビューの中で、滝藤賢一はこんなことも語っていた。
古舘さん主催によるワークショップもやりました。共演者、スタッフ、山下敦弘監督、脚本の野木亜紀子さんまで参加して、“俳優はどうあるべきか”みたいなところから、とことん話し合った。
1クール全12話40分のテレ東の深夜ドラマにかける熱量としては凄すぎやしないか、と思った。
共演者や監督、脚本は分かるとしてもその他のスタッフまで古舘寛治のワークショップに参加している。ゴールデン帯のドラマでもワークショップを開いてスタッフ全員が参加しているのは、あくまで想像だが中々珍しいのではないだろうか。
ドラマに関わる人間が俳優論をぶつけるワークショップは、かなりの熱量が生み出されることが容易に想像できる。そこで、いい作品を作りたいという制作陣の思いをまとめた座長・古舘寛治の凄さが光る。
そのインタビュー記事を読んで、このドラマを見たいと思った。いや、見なければいけないと思った。
全出演者、全スタッフが全身全霊でぶつかってくるドラマを真っ向から受け止めなければと、直感で感じたのだ。
また、他のインタビューを探してみると、古舘寛治と山下敦弘の対談形式のインタビュー記事があがっていた。
前編:https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/drama/entry/2020/020994.html
後編:https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/drama/entry/2020/021018.html?sc_cid=yw_drama
その文面からも、撮影現場での熱量が伝わってくるほど濃い内容だった。
そして無事に「コタキ兄弟と四苦八苦」が始まった…
1話の感想に続く
「コタキ兄弟と四苦八苦」
あらすじ
真面目すぎてうまく生きられない兄と、そんな兄をみて育ったせいか、ちゃらんぽらんにしか生きられなくなった弟。無職の残念な兄弟が、ひょんなことから「レンタルおやじ」を始めることに。依頼内容は、定年退職した夫の様子がおかしい、友達が孤独死しているのではないか、3か月後に世界が終わる…などひとクセある案件ばかり。生きるのが下手な兄弟が、「レンタルおやじ」を通して孤独な依頼人たちと関わり、様々な無茶ぶりに“四苦八苦”しながらも、どうにか生きていく人間賛歌コメディ。
出演者
古滝一路:古舘寛治
古滝二路:滝藤賢一
さっちゃん:芳根京子
ムラタ:宮藤官九郎
脚本:野木亜紀子
監督:山下敦弘
OP:Creepy Nuts「オトナ」
ED:スターダストレビュー「ちょうどいい幸せ」