シアターシュリンプ
自分が私立恵比寿中学と出会ったのは「ウレロ☆無限大少女」だった。
「ウレロ☆」シリーズは劇団ひとり、バカリズム、東京03、早見あかり、福原遥がレギュラーを務めるコント番組で、その第4シーズンである「ウレロ☆無限大少女」に番組内のアイドル「インフィニティーズ」として出演していた。
元々アイドルに一切興味が無かったのだが、ウレロの脚本を担当している土屋亮一(シベリア少女鉄道)が好きで、その土屋亮一がエビ中の舞台”シアターシュリンプ“の脚本をやっていると知り、すぐにAmazonでシアターシュリンプの第一作『エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート』を取り寄せた。
名前長すぎだろ!!と最初はバカにしていたがいざ本編を見てみると驚いたことに馬鹿馬鹿しいにもほどがあるドタバタコメディ。
それなのにもかかわらず出演者全員にはっきりと個性があり、複雑な伏線や仕掛けが満載、まさかの展開の連続で「これがアイドルの演劇か!?」と衝撃を受けた。
『エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート』を見終えた後、すぐに第二作『ガールズビジネスサテライト』を購入。
こちらも第一作同様無茶苦茶な展開に振り回されるドタバタコメディで、始めから終わりまでずっと楽しむことができた。
元々アイドルに興味がなかった自分が、このエビ中の舞台”シアターシュリンプ”がきっかけでアイドルの概念を覆され、あっという間に学芸会(エビ中のライブ)やファミえん(夏の大型イベント)にも参加するほどエビ中にハマってしまっていた。
アイドルは清楚でカワイイ、だけではないということをシアターシュリンプで教えられた。
「アイドルに興味がない」「私立恵比寿中学を知らない」知らないという人にぜひ見てほしい。
あわよくば私立恵比寿中学を好きになってほしい。
今、Amazon Prime videoにてシアターシュリンプの過去2作品が配信されていていろんな人にも見てもらいやすい環境になったので
- 『エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート』
- 『ガールズビジネスサテライト』
この2作品の見どころをネタバレなしで紹介していきたいと思う。
『エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート』
あらすじ
とある中学校の演劇部。やる気のない部員たちは稽古の見学にきたOGに演劇部崩壊のシナリオで一芝居打つことに。しかし、演技とリアルのキャラクターを勘違いされる始末。さらには顧問と教育実習生、新入部員や事故にあった設定の部員の姉まで巻き込んだはちゃめちゃな学園コメディー。
緻密に計算された脚本
個人的には名作舞台だと思っている作品。冗談抜きで30回以上は見ている。
『エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート』では、エビ中の振り切った演技ももちろん見どころなのだが、最も注目すべき点は脚本の土屋亮一による【緻密に計算された伏線】
土屋亮一が主宰する劇団「シベリア少女鉄道」では毎回約2時間の舞台のうち前半の1時間を全て伏線を張るためだけに使い、後半の1時間で馬鹿馬鹿しいパロディを用いて全てがつながる壮大などんでん返しを得意としている。
その得意なジャンルをシアターシュリンプに持ち込み、アイドルを使って堂々とコメディを展開している。
特に第一弾は「一度見れば必ずもう一度見たくなる」仕掛けが満載だ。
何気ないセリフが後半に繋がっていたり、一つのボケとして使われた小道具が思わぬ形で最後に登場していたり、何度見ても楽しめる作品になっている。
この『エクストラ…』(長すぎるので割愛)が名作だと思う理由はもう一つある。
『エクストラ…』は演劇部がOGについたウソがきっかけでいろんなところで大事件が起きる、「吉本新喜劇」のようなドタバタコメディが特徴的。
つまり「誤魔化し」から始まる喜劇の黄金パターンなのだが、『エクストラ…』の劇中のセリフで「誤魔化し」とは相反する「言いたいことがある時はちゃんとはっきり言わなきゃだめ」というセリフが何度も登場する。
「誤魔化し」がテーマのコメディにあえて「素直になろう」というメッセージ
そのまったく正反対の対比によってメッセージ性が際立たせることができている。
ただただ面白いコメディというわけではなく、しっかりと筋の通ったメッセージが込められているところがありきたりな演劇に止まらない部分だと感じた。
『ガールズビジネスサテライト』
あらすじ
地方のファミレス。女子高生二人組は学校帰りにファミレスに寄っていた。ドリンクバーという大人の社会の仕組みを知るために。そのファミレスには様々な事情を抱えているお客が集まっていて・・・
女優として魅せる
『エクストラ…』はエビ中メンバーは全員演劇部で「永遠に中学生」というコンセプトに近かったが『ガールズ…』では学生やファミレス店員、警察、編集者など幅のある役を演じている。
- 中山:女子高生
- 安本:女子高生
- 小林:女子高生(漫画家の卵)
- 廣田:ファミレス店員
- 星名:刑事
- 柏木:ファミレス店員に潜入している月刊誌記者
- 真山:編集者
- 松野:売れないタレント
これにより一人ひとりの演技にスポットが当たる。
『ガールズ…』では『エクストラ…』とは違い本筋よりも演技中心のコメディに仕上がっている。
中山莉子の狂気じみた芝居
小林歌穂のコミカルで豊かな表情
柏木ひなたの怒りながら進行する役回り
など第一作から引き継がれているキャラに加え、
安本彩花の振り回され具合
松野莉奈のオーバーな芝居
真山りかのクレイジー
廣田あいかの天然おバカさんキャラ
クールな星名美怜
と第一作とは違ったキャラも見ることができる。
エビ中はアイドルとは言いつつも天下の事務所スターダストプロモーション所属なので、基礎の演技はしっかりとしている。そこに脚本土屋亮一のコメディセンスを加えることで、緩急のある演技や振り切った演技を際立たせることができるのだ。
きっかけに
脚本をメインで楽しみたい方は『エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート』
演技をメインで楽しみたい方は『ガールズビジネスサテライト』
どちらも約80分ほどで見やすいので、ぜひ「アイドルに興味ない」「演劇に興味ない」という人に見てもらいたい作品だ。
どちらか一方だけ見ても私立恵比寿中学の良さは伝わると思うし、両方見ればより私立恵比寿中学のことを好きになる。
歌やダンスからエビ中を知るのもいいが、馬鹿馬鹿しいドタバタコメディを見た後にライブパフォーマンスを見るのもまた違った楽しみが生まれていいかもしれない。
私立恵比寿中学を好きになる
そのきっかけに【シアターシュリンプ】はいかがだろうか?
(文:つちへん)
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シアターシュリンプの他にも小林歌穂主演の「また来てマチ子の、恋はもうたくさんよ」も観れますのでこの機会にぜひ。